研究課題/領域番号 |
17605001
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
辛島 彰洋 東北大学, 大学院情報科学研究科, 助手 (40374988)
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研究分担者 |
片山 統裕 東北大学, 大学院情報科学研究科, 助教授 (20282030)
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キーワード | 睡眠-覚醒制御機構 / アセチルコリン作動性 / レム睡眠 / ノンレム睡眠 / 数理モデル / 脳波 |
研究概要 |
我々は、睡眠-覚醒制御機構の解明を目指し、「1.睡眠-覚醒制御に関わる神経活動の計測」ならびに「2.制御機構のモデル化と計算機シミュレーションを用いたモデルの検証」を並行して行ってきた。 1.脳幹や視床下部に細胞外電位計測用電極を刺入し、睡眠-覚醒制御に関わる神経活動を調べてきた。まず、脳幹のアセチルコリン作動性ニューロンが局在する部位にガラス電極を刺入し、単一神経活動を睡眠時に計測した。今まで睡眠制御にどのようにかかわっているのかほとんど調べられてこなかったW-Rニューロン(覚醒(W)とレム睡眠(R)期に活動するニューロン)が、レム睡眠の導入に関わっているとされてきたREM-onニューロン(レム睡眠(R)期に選択的に活動するニューロン)に先行して発火パターンを変化させることを見出した。これは、2.のシミュレーション結果と併せて、W-Rニューロンがレム睡眠の導入に関わっている可能性を強く示している。さらに、テトロード電極を用いた多細胞神経活動の同時計測システムを構築し、その計測に成功した。現在は、同時記録した多細胞神経活動間の相互相関を、確率統計的手法を用いて調べており、脳幹局所回路が睡眠の切り替わりにどのように寄与しているのか、その解明を目指している。 2.本年度は、睡眠調節ニューロン群間の相互作用に関して電気生理学、また解剖学的な報告が多数あった。我々は、これらの新しい知見を組み込んで睡眠-覚醒機構モデルを構築した。このモデルは、"ヒトや動物の睡眠-覚醒サイクル"ならびに"電気生理実験の結果"を定性的に再現できたことから、生理的に妥当なモデルと考えられる。また、本モデルを用いて、興奮して喜怒哀楽の感情が高まった時、意識があるにもかかわらず筋緊張を保てず昏倒してしまう睡眠障害であるカタプレキシーのメカニズムの予測を行った。
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