研究概要 |
【目的】習慣性飲酒者は高血圧の有病率が高く、飲酒は睡眠構築に影響する。本研究は、習慣性飲酒が夜間睡眠時の自律神経機能と血圧に及ぼす影響を明らかにするために行った。 【対象・方法】対象者は成人男性37名(糖尿病3名、高血圧11名を含む)、平均年齢は41.4±12.7歳。計測は12時に開始し、24時間行った。自律神経機能は、心電図R-R間隔のデータをもとにパワースペクトル解析を行った。Ambulatory Blood Pressure Monitoringを行うとともに、睡眠時にはパルスオキシメーターを装着し、 Oxygen desaturation index (ODI)を求めた。 【結果】習慣的飲酒量と日中覚醒時の収縮期血圧の平均値(SBP)とは正の相関関係が認められた(Pearsonの相関係数R=0.559 (P<0.001))。飲酒量と睡眠時のULF, VLV, LF, HFのパワーとの間にはそれぞれ負の相関関係が認められ(R=-0.361(P=0.028)、-0.347(P=0.035)、-0.415(P=0.011)、-0.461(P=0.004))、 LF/HFとの間には正の相関関係が認められた(R=0.466(P=0.004))。飲酒量とODIとの間には正の相関関係が認められた(R=0.558(P<0.001))。SBPを従属変数として心拍変動解析の各パラメータとODIを投入した重回帰分析では、ODI(B=2.599(95%CI:1.602-3.596)、睡眠前半のHF(B=0-.015(95%CI:-0.005--0.025)、VLF(B=0.002(95%CI:0.001-0.003)が有意であった。 【結語】習慣性飲酒は用量依存性に夜間睡眠時の自律神経機能を抑制し睡眠時無呼吸とともに日中覚醒時の血圧上昇に関与することが示唆された。
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