研究課題/領域番号 |
17605004
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
片山 芳文 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (20014144)
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研究分担者 |
平井 恵二 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (70156628)
本多 和樹 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教授 (70173656)
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キーワード | 睡眠 / 腸管機能 / 脳 / 腸神経系 / オレキシン / モチリン / グレリン / ニューロペプチドY |
研究概要 |
睡眠に関連する神経ペプチドを用いて、摂食と睡眠の接点を探索し見極めることを本研究課題の究極目標とし、まず、腸管機能への睡眠関連神経ペプチドとしてオレキシンの生理作用を検討することから始めた。次いで、オレキシンやモチリン、NPYなど各種睡眠関連ペプチドの腸神経系における作用、さらに、睡眠・覚醒中枢への諸作用について検討した。本年度の成果の概要は下記の通りである。 モルモット腸管から摘出したアウエルバッハ神経叢の腸ニューロンから細胞内記録を行い、各種神経ペプチドの作用について膜電位や膜抵抗の変化、そしてシナプス伝達への影響を記録・解析した。オレキシンAとBは一群の腸ニューロンで脱分極を起こすとともに、シナプス伝達をしばしば促進した。これらの効果は、オレキシンA, Bともに同様に観察された。モチリンはシナプス伝達を抑制した。しかし少数の腸ニューロンで弱い脱分極作用と示した。グレリンの作用は複雑で、ニューロンによって脱分極と過分極の異なる作用を発現したが、シナプス伝達については抑制作用のみであった。 モルモットのアウエルバッハ神経叢及びマイスナー神経叢でオレキシンAとオレキシン-1型受容体の存在を免疫組織学的に観察した。オレキシンおよびその受容体は、腸ニューロンの細胞体ではなく周辺に分布することから、上述のオレキシンのシナプス伝達促進はオレキシンがシナプス前性に作用して伝達物質放出を促進した可能性が想定される。 ニューロペプチドY(NPY)のY_2-受容体アゴニストをラット腹腔に投与するとNREM睡眠を増加させ、覚醒を減少させた。同時に摂食を減少させた。脳と腸管双方に存在する脳腸ペプチドであるNPYはY_2-受容体を介して睡眠と摂食に関与することを実験的に確認した。
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