研究概要 |
本研究では,人間の睡眠の質を評価することを目的に,各種生体信号から睡眠に関連した特徴量を抽出する手法に関して研究を進め,以下の研究結果を得た. 1.ピーク周波数時系列抽出法を用いた睡眠に関する特徴抽出 修正ウェーブレット変換解析手法を利用して得られるピーク周波数時系列を解析することにより,第2ピーク周波数時系列が睡眠脳波ステージに最も相関の高い情報を含んでいること,同じ睡眠段階であっても,睡眠サイクルを繰り返すことによって,この第2ピーク周波数が高くなる傾向があることを明らかにした. 2.自律神経リズム抽出法に関する検討 心電位信号からR-R間隔時系列を抽出し,データ長1分毎のARスペクトル解析を行って,HF・LF成分の時間的変動の抽出を行い,睡眠脳波ステージ変動との相関を調査した.その結果,窓幅21分程度のメディアンフィルタを施すことによって,睡眠脳波ステージと相関の高い自律神経リズムの抽出が可能であることを確認した. 3.準ARモデルを用いた特徴抽出法 脳波の解析に準ARモデルを適用する上でのパラメータ推定法に関する検討を行った.その結果,線形項を固定し非線形項のみの推定を行う方法が,線形項・非線形項を同時に推定する方法より,安定した特徴量の抽出が可能であること,また,線形ARモデルでは抽出できなかったスペクトル変動を抽出可能であることを確認した. 4.多チャンネル脳波信号の独立成分解析 独立成分解析法に基づくブラインドソース分離法を多チャンネル脳波の解析へ適用し,視覚認識時脳波の単一試行データから事象関連電位が抽出可能であることを確認した.現在,Stage REMにおける急速眼球運動時の4ch(C3,C4,O1,O2)の脳波へ適用して,その解析を行っているところである.
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