目的:アレルギー・自己免疫発症機序におけるCD4+エフェクター細胞は重要な働きをする。OX40シグナルはCD8+T細胞機能や抗体産生にはほとんど影響を与えず、CD4+エフェクター細胞に選択的に関与することから、CD4陽性エフェクターT細胞の産生・生存におけるOX40の役割を明らかにすることにより、OX40を標的としたアレルギー・自己免疫治療法を検討する 結果・考察:アレルギー・自己免疫において重要な働きをするCD4陽性エフェクターT細胞の産生には、前期の抗原依存性過程と後期の抗原非依存性過程が存在することが知られている。我々は、OX40L遺伝子導入マウスを用いたCD4陽性T細胞移入実験系において、OX40シグナルがCD4陽性T細胞恒常性維持増殖に促進的に機能することを見出した。また、我々が樹立した阻害性抗OX40L抗体を投与するとCD4陽性エフェクター記憶T細胞の恒常性維持増殖が抑制されるが、さらにそれに加えて抗IL-7受容体抗体を投与すると、CD4陽性エフェクター記憶T細胞の恒常性維持増殖が完全に抑制された。一方、CD4陽性ナイーブT細胞恒常性維持増殖には、上記のようなOX40とIL-7シグナルの相加効果は見られず、恒常性維持増殖におけるOX40とIL-7シグナルの役割は、ナイーブT細胞とエフェクター記憶T細胞とで異なる可能性が示唆された。他方、抗原提示細胞特異的と考えられていたOX40Lの発現が、受容体であるOX40とともに長期生存T細胞上に見られることが明らかとなった。さらに、OX40L-Tgマウスは間質性肺炎と潰瘍性大腸炎を自然発症することから、OX40L-TgマウスとIL-13欠損OX40L-Tgマウスの間質性肺炎および潰瘍性大腸炎発症の程度を、体重減少、組織像を比較した。その結果、IL-13欠損OX40L-TgマウスにおいてはOX40L-Tgマウスに比較して間質性肺炎および潰瘍性大腸炎の発症が抑えられ、体重減少も抑制された。また、OX40L-TgマウスのCD4陽性T細胞をリンパ球欠損RAG-KOマウスに移入すると、間質性肺炎と潰瘍性大腸炎の発症が再現されることを利用して、IL-13欠損OX40L-Tgマウス由来CD4陽性T細胞がRAG2-KOマウスにこれら疾患を再現できるかどうかを検討した結果、CD4陽性T細胞が産生するIL-13が疾患発症に直接的に関与することを明らかにした。以上のことから、OX40-OX40LのシグナルはCD4陽性エフェクターT細胞生存に重要であり、また、OX40/OX40Lの下流においてIL-13が重要な働きをしていることが明らかとなった。従ってOX40を標的とした治療は新たなアレルギー・自己免疫治療法の方向性を示す。
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