研究課題
本研究では、ANPとNOおよびそれらの受容体であるguanylyl cyclaseを介する免疫制御機構を解析し、アレルギー疾患の発症、病態形成との関わりを明らかにすることを目的とする。われわれはこれまでに、樹状細胞(DC)が心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)の受容体GC-Aを発現し、ANPがLPSで刺激されたDPをTh2分化誘導型形質に極性化するという新しいDCの機能制御の仕組みを明らかにしたが、GC-Aは膜型のguanylyl cyclaseであり、cGMPを2nd messengerとしてシグナルを伝達するが、NOもcGMPをsecond messengerとする生理活性物質であり、この場合は、NOが細胞質内の可溶性guanylyl cyclase(soluble GC)に作用して活性化させることが分かっている。そこでわれわれは次にNOにも同様の免疫制御作用があるかどうかを検討した。末梢血のplasmacytoid DC(pDC)をCpG ODNで刺激するときにNOドナーであるDETA/NOを添加すると、IRF-7の発現低化を伴ってIFN-αの産生が著明に抑制された。また、IL-6、TNF-αの産生も強く抑制されたが、逆にOX40Lの発現は増強した。これらのNOの作用は、soluble GCの特異的阻害剤であるODQによって大部分中和されたことから、主にsoluble GCを介するものと考えられる。その結果として、IFN-αの産生低下およびOX40Lの発現増強に一致して、NOで処理されたpDCはナイーブCD4+T細胞をTh2へと分化させることが示された。以上のことから、DCのguanylyl cyclaseを介する共通の免疫制御機構が存在することが明らかとなった。
すべて 2005
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