研究概要 |
本研究では、DCに発現する2つのguanylyl cyclase、すなわちANPの受容体GC-AおよびNOの細胞内受容体soluble GCを介する免疫制御機構を解析した。まず、ヒトDCに対するNOの影響について検討し、ヒト末梢血CD11c+myeloid DCとCD11c-plasmacytoid DCのいずれもがNO処理によりTh2免疫応答誘導型の形質に極性化することを明らかにした。すなわち、CD11c+DCでは、LPS刺激後のIL-12産生が、plasmacytoid DCではTLR9のリガンドであるCpG oligo DNAによる刺激後のIFN-αの産生が著明に抑制され、臍帯血から分離したナイーブT細胞をTh2型に分化させた(J.Immunol.175:806-812,2005)。次に、京都大学医学部附属病院耳鼻咽喉科との共同研究で、切除扁桃を用いて、in vivoでGC-Aを発現している細胞があるかどうかを検討した。その結果、T細胞領域にDCの分布と一致してGC-A+細胞が認められた。さらに、浮遊細胞にしてフローサイトメトリーで解析すると、CD123+のpDCと思われる細胞がGc-Aを強く発現していた。末梢血のpDcは分離直後にはGC-Aを発現しないが、IL-3やcpGoligoDNAで活性化すると発現が誘導された。GC-Aを発現させておいてANPを添加すると濃度依存性に細胞内cGMPの上昇が認められpDcに発現するGC-Aは機能的であることが示された。また、cpGoligoDNAでpDCを刺激するときにANPを加えると濃度依存性にIFN-αの産生が抑制された。以上のことから、in vivoにおいて少なくともリンパ組織のpDCはGC-Aを発現しANPによる機能制御を受けることが示唆された(論文投稿中)。以上のわれわれの研究成果から、DCの2つguanylyl cyclaseがTh2優位の免疫応答とアレルギー病態の成立に深く関与することが明らかとなった。
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