研究課題/領域番号 |
17607008
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
小埜 和久 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 教授 (10144883)
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研究分担者 |
秋 庸裕 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 助教授 (80284165)
河本 正次 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 助手 (90294537)
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キーワード | アレルゲン / スギ花粉症 / アレルゲノーム解析 / IgE反応頻度マップ / β-1,3-glucanase / aspartyl protease / 次世代診断システム / テーラーメイド医療 |
研究概要 |
個々のスギ花粉症患者がそれぞれ異なる固有の感作抗原スペクトラムをもつことから、次世代診断システムの確立やワクチン創薬研究等のテーラーメイド医療に資するための基盤技術を整備する上で、感作抗原に関する基礎的知見を集積することは必須である。そこで、スギ花粉症患者の特異IgEを用いてスギ花粉抗原の網羅的解析を行い、抗原のIgE結合頻度マップを作製した。二次元電気泳動上で、主要抗原(Cry j 1およびCry j 2)に加えて高IgE反応性頻度を示す新規抗原スポット群のなかで、今年度は、二つの抗原スポット(CPA39およびCPA63)およびアイソフォーム群の部分アミノ酸一次配列をTOF-MS解析により決定した。その情報を許に縮重プライマーを作製し、PCRおよび5'-ならびに3'-RACE法にて、それぞれの全塩基鎖長を取得し、塩基配列を決定した。CPA39はβ-1,3-glucanase活性をもつ471アミノ酸残基からなるポリペプチドであり、他植物由来の同じ酵素活性をもつアレルゲンであるOle e 9(オリーブ)、Hev b 2(ラテックス)とそれぞれ約48%および36%の相同性を示した。一方、CPA63は472アミノ酸からなり、aspartyl protease/nucleoid DNA binding proteinと相同性を有していた。当該アレルゲン遺伝子を含む組換えバキュロウイルスを作製して、昆虫細胞Sf21を用いた分泌発現・精製系を構築した。得られた精製組換え型CPA39ならびにCAP63とスギ花粉症患者IgEとの結合活性をELISAにて検証したところ、それぞれ60.7%(17/28)および33.3%(10/30)のIgE結合頻度を有していた。逐次、異種生物起源の同種分子種間の交差反応性の立証と残りの主要アレルゲンレパートワータを揃えていく予定である.
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