4〜8週齢の雌性BALB/cマウスに水酸化アルミニウムをアジュバントとしてダニアレルゲンDermatophagoides farinae:Df)を腹腔内注射した後、経鼻的にダニアレルゲンを投与することでダニ喘息マウス(Df群)を作製した。このマウスに対して、それ自体では肺に炎症を引き起こさないが、肺の所属リンパ節においてIFN-γ産生を亢進させ、RT-PCRを用いてウイルスの同定が可能な量(2x10^3 PFU/mouse)のRSVのsubclinical infectionを行なった(Df+RSV群)。Control群として紫外線で不活化したRSV(UV-RSV)を感染させたマウスと、live RSVのみを感染させたマウス(RSV群)も準備した。これらのマウスをRSV感染4日後に頚椎脱臼によりsacrificeし、縦隔リンパ節を混入させないように肺組織を摘出した。摘出した肺組織は酵素的に消化し、比重遠心法により肺単核細胞を分離した後、マウスCD11c抗体磁気ビーズと培養し、MACScanを用いた免疫磁気的方法により、CD11c陽性マウス肺樹状細胞を分離した。 In vitroの実験では、4群のマウス肺樹状細胞をCD3陽性T細胞とダニアレルゲンの存在下で48時間培養し、上清中に産生される免疫調節性サイトカインであるIL-10とIL-12をELISA法により測定した。In vivoの実験では、4群のマウス肺樹状細胞を別のナイーブなBALB/cマウスの気道へ移入し、移入後7日目から連続3日間ダニアレルゲンを経鼻投与し、アレルギー性気道炎症を惹起した。 結果として、少量RSV初感染においては、肺樹状細胞のサイトカイン産生パターンはTh1向性となり、in vivoでの移入により、アレルギー性気道炎症を抑制した。
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