4〜8週齢の雌性BALB/cマウスを用いてダニ(Dermatophagoides farinae:Df)喘息マウスを作製した。このマウスの脾臓から免疫磁気ビーズ法を用いて形質細胞様樹状細胞(pDC)を分離した。このpDCにrespiratory syncytial virus(RSV)感染を行い、別のDf感作マウスの気道へ移入した。RSV感染を行っていないpDCの移入によりアレルギー性気道炎症の発症が抑制されたが、これには肺組織中の免疫調整性サイトカインであるIL-10の産生増加が関連していた。RSV感染を行ったpDCではIL-10の産生が抑制され、アレルギー性気道炎症を抑制することができなかった。これまで我々は、ウイルス感染が喘息に与える影響はウイルス量、感染回数、抗原提示細胞の周辺のメディエーター濃度の違いにより変化することを報告してきたが、今回の結果から以上に加えて、ウイルスが主として感染する抗原提示細胞が、骨髄系樹状細胞か形質細胞様樹状細胞かによっても異なる可能性が示され、ウイルス感染による喘息の発症や増悪の治療戦略として、樹状細胞をターゲットにした治療が有望であることが示唆された。さらに、マウスの骨髄系樹状細胞に病原真菌である.Aspergillus fumigatusを感染させると、生菌か死菌の違いにより、Toll-like受容体の発現パターンが異なることも明らかとなり、抗原提示細胞上のToll-like受容体の発現パターンとその下流のシグナルが真菌感染時のアレルギー発症の転帰を決定する重要な要因であることが示された。
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