本研究の目的は、一般廃棄物に焦点をあて、地域協働に基づく都市版環境マネジメントシステムの構築とその運用方法を明らかにすることにある。具体的には、愛知県一宮市を事例に取り上げ、様々な主体の環境配慮によって形作られる静脈機能の構造を分析し、一般廃棄物削減のためのPDCAサイクルを構築することにある。 研究対象とする一宮市では、平成14年度及び15年度において、「市民会議方式」と呼ばれる新しい住民参加方式を用いて環境基本計画の策定が行われた。また、定量的な計画目標として、今後10年間で一般廃棄物の46%削減が位置づけられた。さらに、この計画(目標)を推進するため、平成16年度には、住民、事業所、行政等によって構成する一宮市環境基本計画推進協議会が設置された。 このような背景のもと、平成17年度は、研究の初年度として、研究体制の構築と基礎データの収集に重点を置いて調査研究を進めた。 具体的には、住民、事業者、行政職員との連携のもとに実証的な政策研究が進められるよう、平成17年4月及び平成18年2月に一宮市環境基本計画推進協議会委員を対象としたレクチャーを行った。また、一宮市及び一宮商工会議所の協力を得て、平成18年1月、住民組織及び事業所の環境配慮実態に関するアンケート調査を実施した。この調査では、地域協働によって形作られる静脈機能の姿を明らかにするため、町内会(廃棄物減量等推進員)362団体(回収率46.4%)及び企業・事業所500社(回収率19.9%)を対象に、環境配慮実態の把握を行った(行政の政策的側面からみた実態は調査済み)。また、地域協働による一般廃棄物削減効果の測定手法等を検討するため、東海市(愛知県)、金沢市(石川県)、矢板市(栃木県)へのヒアリング調査を実施した。なお、これらの調査については単純集計が終了した段階であり、平成18年度に計画する「地域協働に基づく都市版環境マネジメントシステム」設計の一環として、統計的な分析を加えていく予定である。
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