本研究の目的は、一般廃棄物に焦点をあて、地域協働に基づく都市版環境マネジメントシステムの構築とその運用方法を明らかにすることにある。具体的には、愛知県一宮市を事例に取り上げ、様々な主体の環境配慮によって形作られる静脈機能の在り方を分析、検討し、ごみ減量のためのPDCAサイクルを構築することにある。一宮市では、「市民会議方式」と呼ばれる新しい住民参加方式によって環境基本計画を策定、その中で46%のごみ減量目標が位置づけられており、本研究は、一宮市のごみ減量目標を達成する観点から、実証的な政策研究を行うことに主眼を置いている。 平成19年度は、研究の最終年度として、ごみ減量に対する住民、企業・事業所の意識と行動から、地域協働の形成可能性を検討したうえで、地域協働に基づく都市版環境マネジメントシステムの設計に取り組んだ。具体的には、平成18年1月に実施した町内会及び企業・事業所の環境配慮実態に関するアンケート調査の分析結果を踏まえ、地域協働の形成可能性を検討するとともに、地方自治体による環境マネジメントシステムの運用実態を把握するため、新潟市、福岡市、大和市へのヒアリング調査を実施した。また、平成19年8月には、町内会を対象としたフォローアップ調査を実施し、ごみの分別意識と排出行動との関係性を中心に分析を加えた。これらの結果を踏まえ、地域協働に基づく都市版環境マネジメントシステムの要件として、1)ごみ減量に対する関係主体の意識と行動を考慮した環境配慮の促進、2)環境配慮の地域的な広がりを促進する環境マネジメント、3)ごみ減量目標の達成と地域協働の促進を目指した環境コミュニケーション、以上の点等を明らかにしたうえで、チェックリスト方式によるシステムの設計と評価方法の在り方を提示した。
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