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2005 年度 実績報告書

「過剰な死」がもたらす社会的影響に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 17611003
研究種目

基盤研究(C)

研究機関京都大学

研究代表者

島田 周平  京都大学, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (90170943)

キーワードザンビア / 過剰な死 / HIV・エイズ
研究概要

今年度は連合王国とジンバブウェ、ザンビアにおいて社会科学分野におけるHIV・エイズ研究の実態を調査した。それらは大きく分けて二つの方向性を持っている。一つは、社会の慣習や制度とHIV・エイズの感染拡大との関係に関する研究であり、もう一つはHIV・エイズ拡大の社会へのインパクトに関する研究である。
このうち前者の研究では、1)結婚制度(一夫多妻制度や寡婦相続等)、2)宗教、3)社会組織(教会、若者グループ、貯蓄クラブ、政治団体等)、等の違いによるHIV・エイズの感染の違いに関する報告が多数なされている。例えば、一夫多妻や寡婦相続が感染拡大を増大させているとか、イスラム教徒の方がキリスト教徒よりHIV感染者率が低いとか、一部の社会組織例えば金融互助講メンバーの間でHIV感染者率が高いといった事実である。後者の研究では、エイズの発症や死がもたらす影響が検討され、寡婦世帯で、農業の粗放化、農外活動の減少、子供の労働加重、経済的困窮の度合いが激しく、相続や孤児養育が深刻な問題になりつつあることが指摘されてきていることが明らかとなった。
HIV感染阻止の緊急性とエイズ治療の実効性が現実的課題となるにしたがい、HIV・エイズに関する社会科学的研究は、医学的治療研究に対し重要性を失いつつあるように見える。しかし医学的治療自体がもつ社会的影響を考えるまでもなく、治療に関わる政策論的研究は社会的状況の実態把握なしには重大な欠陥を抱えることになりかねないと考える。そのような観点からアフリカ学会におけるシンポジウムや書評の中で、HIV・エイズと社会との関係性の意味についてその重要性を指摘してきた。またザンビアの一農村で見られた「過剰な死」が農業生産にもたらす影響についても論文を取り纏めた。これは来年度に出版の予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2005

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] 「HIV/エイズと女性」に関して今考えていること2005

    • 著者名/発表者名
      島田周平
    • 雑誌名

      アフリカ研究 67

      ページ: 116-118

  • [雑誌論文] 書評:『エイズ政策の転換とアフリカ諸国の現状-包括的アプローチに向けて-』(牧野久美子, 稲葉雅紀編)2005

    • 著者名/発表者名
      島田周平
    • 雑誌名

      アフリカ研究 67

      ページ: 126-128

  • [雑誌論文] HIV/エイズの農村社会と環境に対する影響に関する研究-南部アフリカにおけるポリティカル・エコロジー論の新しい課題-2005

    • 著者名/発表者名
      島田周平
    • 雑誌名

      福武学術文化振興財団 平成16年度歴史学・地理学助成報告書

      ページ: 78-82

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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