研究課題/領域番号 |
17611007
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
松島 泰勝 東海大学, 海洋学部, 助教授 (20349335)
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研究分担者 |
川崎 一平 東海大学, 海洋学部, 教授 (10259377)
岡嶋 格 東海大学, 海洋学部, 教授 (70123073)
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キーワード | 社会開発 / 八重山諸島 / 文化政策 / 経済自立 / 観光開発 / 文化変容 / 島嶼経済 / 自治 |
研究概要 |
本研究の目的は次の通りであった。八重山諸島における観光開発、補助金依存、過疎化、環境破壊等、様々な問題を抱えている。島ごとに問題の様相も異なる。他方で島々には祭り、儀礼等が活発に行われ、島独自の伝統文化が存在している。これまでの開発が島の伝統文化にどのような影響を与えたのか。また、島の伝統文化を保存し、活性化する試みとしてどのようなものがあるのかを明らかにする。また、復帰後の八重山諸島における開発計画や開発の実態、開発による島の資源利用や生業の変化、開発による生態系への影響等について検討する。さらに、八重山諸島の伝統社会が小規模社会開発を作り出す上においてどのような可能性があるのかについて解明する。補助金投下型の開発ではなく、島の伝統、文化、歴史を重視したもう一つの開発手法について考察する。 このような目的意識の下、松島研究代表者は経済学、川崎研究分担者は人類学、岡嶋研究分担者は考古学の観点から調査を実施した。平成17年度の調査においては、八重山諸島各地において3人共同でフィールドワークを実施し、社会開発を実践されている方、行政官、文化実践者等へのインタビュー、開発の現場の視察、資料収集を実施した。平成18年度においては3人のそれぞれの問題関心分野を深化させるべく、個々にフィールドワークを実施した。松島研究代表者は八重山諸島における開発が島の経済自立に結びついたのかという問題意識のもと、住民参加による島おこし運動の展開について集中的に調査を行なった。川崎研究分担者は、八重山諸島への移住者による島の文化変容の諸相についてフィールドワークを実施し、岡嶋研究分担者は、石垣島の新空港建設と考古学的遺跡調査等の文化行政との関係について調査を行なった。 松島研究代表者は、本研究による調査を踏まえて『琉球の「自治」』(藤原書店)を平成18年10月に上梓した。また、平成19年3月10日から12日まで八重山諸島を含む琉球諸島において住民参加による自立活動を実践している方を集めた「ゆいまーる「琉球の『自治』」一万人のもあい」という名称の研究集会を開催した。松島研究代表者は同研究集会を運営・コーディネートするとともに、本研究の成果の一端を発表した。同研究集会において八重山諸島を含む琉球諸島における開発の実態と、社会開発の可能性、社会開発における文化の重要性が明らかにされた。松島研究代表者の著作、研究集会の開催は本研究実績の一部をなすといえるだろう。 本研究の目的は、八重山諸島における開発の実態を明確化するとともに、伝統社会や伝統文化が小規模社会開発を作り出す上における可能性を検討することであった。2年間のフィールドワークを中心とした学際的な研究により、研究目的を達成することができたと考える。
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