1.最終報告書作成に向けてのデータの整理と分析 本年度は、質問紙調査(研究1)とフィールドワーク(研究2)によって得たデータを整理して、分析を行った。研究1から、建設技術者の行動は、所属する集団が建設技術者社会において占める位置特性に強い影響を受け、他から配慮を受ける(立場が強い)側の集団に所属する建設技術者は高い倫理性を発揮することが可能であることがわかった。それに対し、他に強く配慮する(立場が弱い)側の集団に所属する建設技術者は、取り巻く周囲の職業集団から強い拘束を受け、高い倫理性を持っていてもそれを発揮できない可能性があることも明らかになった。また、研究2では、分析の過程で、1)現場では「相互協調的自己観」が共有される、2)情報はその事を重要にとらえている人にしか受容されない、という2つの仮説を生成し、その仮説の確かさを検証した。この相互協調的自己観を打ち破る存在として、その現場に常駐してはいない外来者の存在に注目した。他者や周囲のあり方が個人の言動に大きく作用する日本では発話されにくい問題も、外来者の発言が問題の解決や事故の未然の防止に大きな影響を与えていることを見出した。 2.技術者を対象にした披術者倫理に関する教材の開発 上述の2つの研究成果を踏まえて、現役技術者および外国人技術者を対象にした技術者倫理に関する教材を開発した。 3.最終報告書の作成 1と2を盛り込んだ最終報告書を作成した。
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