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2007 年度 実績報告書

共生がもたらす超深海への適応:ナラクハナシガイ共生細菌の代謝機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 17613010
研究機関独立行政法人海洋研究開発機構

研究代表者

藤原 義弘  独立行政法人海洋研究開発機構, 極限環境生物圏研究センター, サブリーダー (20344294)

キーワード化学合成生態系 / 共生現象 / 硫黄細菌 / 機能遺伝子 / ナラクハナシガイ / 超深海 / SoxB / 還元環境
研究概要

本研究の目的は超深海の還元的極限環境に生息するナラクハナシガイについて,共生細菌の化学合成能を明らかにし,環境適応メカニズムを解明することにある.ナラクハナシガイは日本海溝の水深7千メートルを超える冷水湧出域に生息するハナシガイ科二枚貝であり,鰓上皮細胞内に化学合成細菌を宿す.この二枚貝は明瞭に系統の異なる2種類の共生細菌を宿し,これら2種類の細菌は鰓内で空間的住み分けを行う.先行研究により,1種は既知の共生硫黄細菌と近縁であること,もう1種は自由生活型の独立栄養細菌との類縁性があることが判明していた.平成18年度までに各種プライマーを用いて,共生細菌からの機能遺伝子の増幅を試みたが,明瞭な結果は得られなかった.また類似した環境に生息する他の化学合成共生無脊椎動物の宿す細菌の系統解析から,ナラクハナシガイの共生細菌のうちの一つはイガイ類の共生硫黄細菌に近縁であることが判明した.そこで今年度は新たな条件のもと,ナラクハナシガイ鰓から抽出したDNAを鋳型として,硫黄代謝に関わる重要な遺伝子であるSoxB遺伝子の増幅を試みた.その結果,少なくとも共生細菌のうちの1種はこの遺伝子を有することが判明した.従って,これまで16SリボゾームRNA遺伝子配列解析のみから推定していた細菌の機能を,機能遺伝子解析から硫黄細菌であると断定した.しかしながら,これまでの解析によって,もう一方の共生細菌の機能を示すデータを得ることはできなかった.今後は新鮮な試料を入手して,セルソーターなどで2種の共生細菌を分取し,それぞれの系群に特徴的な機能遺伝子の探索を実施したい.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Molecular identification of the ichthyosporean protist Pseudoperkinsus tapetis from the mytilid mussel Adipicola pacifica associated with submerged whale carcasses in Japan2008

    • 著者名/発表者名
      Takishita, K
    • 雑誌名

      Marine Biotechnology 10

      ページ: 13-18

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Neptunomonas japonica sp.nov.,an Osedax japonicus symbiont-like bacterium isolated from sediment adjacent to sperm whale carcasses off Kagoshima,Japan2008

    • 著者名/発表者名
      Miyazaki
    • 雑誌名

      International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology 58

      ページ: 866-871

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Reduced genome of the thioautotrophic intracellular symbiont in a deep-sea clam, Calyptogena okutanii2007

    • 著者名/発表者名
      Kuwahara, H
    • 雑誌名

      Current Biology 17

      ページ: 881-886

    • 査読あり
  • [学会発表] Symbioses at whale falls2007

    • 著者名/発表者名
      Yoshihiro FUJIWARA
    • 学会等名
      1st EuroDEEP Workshop
    • 発表場所
      タオルミナ(イタリア)
    • 年月日
      2007-11-27
    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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