研究課題/領域番号 |
17630008
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
相澤 守 明治大学, 理工学部, 助教授 (10255713)
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研究分担者 |
石川 邦夫 九州大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (90202952)
井奥 洪二 東北大学, 大学院・環境科学, 助教授 (60212726)
大槻 主税 奈良先端科学技術大学院大学, 大学院・物質創成科学, 助教授 (00243048)
川下 将一 京都大学, 大学院・工学研究科, 講師 (70314234)
寺岡 啓 産業技術総合研究所, 生体機構プロセス研究部門, 研究員 (00357542)
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キーワード | バイオマテリアル / バイオセラミックス / ナノ構造 / ナノインターフェイス制御 / 有機 / 無機ハイブリッド / 細胞応答性 / 生体内反応 / QOL |
研究概要 |
近い将来、超高齢化社会が到来する我が国においては、高齢者特有の疾患である「骨粗鬆症」などに苦しむ患者の増大は自明である。その一方で、全人口中の生産者人口の割合は減少の一途をたどる。そのため、現在のGDPを維持していくためには、65歳以上の高齢者の方々が実社会で大いに活躍できるような高い生活の質(Quality of life ; QOL)を達成する高度医療を実現する必要がある。 本調査研究はそのような高度医療につながる「ハイパフォーマンス医用セラミックスの開発と評価」に関する研究の現状を把握し、今後の方向性を決定することを狙いとして推進した。既に高度医療のひとつとして、未分化の細胞・成長因子・細胞の足場となるスキャフォルドの3つの要素を巧みに組み合わせて目的とする組織を構築させる「組織工学」あるいは「再生医学」が提案され、現在、活発な研究が行なわれており、成果も挙がってきている。しかしながら、再生医学の問題は細胞培養の期間が長期間にわたること、および成長因子が極めて高額であり、医療経済上の問題も解決されていない。もし、バイオマテリアル単独で組織工学(再生医学)が提供する高度な医療レベルを達成できれば、人工材料のメリットとして量産性が向上するため適切なコストでだれでもいつでも利用でき、不慮の事故などにも対応可能な「高度医療」を実現することができる。そこで、我々は上記の高度医療を実現するひとつのキーテクノロジーが「ナノインターフェイス制御」であると考え、実行力のある若手〜中堅の研究者のみで本チーム構成し、その事前調査に取り組んだ。 具体的には、3回の合同会議を開催し、有識者による講演およびメンバーによる「ナノインターフェイス制御による医用セラミックスの開発と評価」の取り組みについて報告し、それに基づいて議論した。その結果、ナノインターフェイスという概念はバイオマテリアルと生体・細胞とをつなぐキーワードであり、ナノインターフェイス制御に立脚して、材料と共存する細胞を遺伝子レベルで制御するような「マテリアルゲノミクス」という学問領域を構築して新たな材料を創製することが高いQOLの実現に必要であるという考えに至った。また、学会活動としては、日本セラミックス協会秋季シンポジウムにおいてひとつのセッションとして「ナノインターフェイス制御による医用セラミックスの開発と評価」に関するシンポジウムを開催し、立ち見が出るほどの盛況であった。さらに、雑誌へのパブリッシュとしては、日本バイオマテリアル学会の機関紙である「バイオマテリアル」に「セラミックスと細胞のナノインターフェイス制御」と題する特集を組んでいただき、本メンバーの一部がそれに執筆している(タイトルなどは次ページ参照)。
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