研究概要 |
本研究で開発中の作文支援システムは、国際会議の発表用プレゼン資料の箇条書項目に係り受け情報タグを発表者が追加すると、それらを説明文テンプレートに代入し、口頭発表用朗読台本に適した自然言語文を自動的に生成する。ここで箇条書項目とは人間の書いたsentence fragment(full sentenceでない語句)で、著者が伝えたいメッセージの核をなす。また係り受け情報タグは、箇条書項目相互間の結論・反論・証拠といった論理を表現する手法で、rhetorical structure theoryを応用して実装した。箇条書項目の執筆と係り受け関係の指定は多くのプレゼン発表者の能力範囲内にある。これらを併用してtechnical writingの規範に則した、ひとつづきの自然言語文を生成するのが本システムである。英語作文能力が低い人でも論旨の通った文章が書けるのが特長。 現在、限られた種類のコンセプトからバリエーション豊かな文章を作るのが自然言語生成研究の潮流である。本研究では発想を転換し、バリエーション豊かなコンセプトから論理が整然とまとまった正しい文章を作る。本システムは、文章照応表現や性数一致といった簡単な構文解析をするが、意味理解をせず、かわりに人間が書いたsentence fragmentと係り受け関係タグを用い、実用になる精度を得る。商用性の高いアプリケーションである。 ACL(Association for Computational Linguistics)が主催するINLG(International Conference on Natural Language Generation, http://www.ac12006.org/,2006-07-15からSydney, Australiaで開催される)に投稿中。
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