研究課題/領域番号 |
17650056
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
津田 一郎 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (10207384)
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研究分担者 |
松本 健司 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (80183953)
行木 孝夫 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40271712)
藤井 宏 京都産業大学, 工学部, 教授 (90065839)
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キーワード | I型ニューロン / サドル・ノード分岐 / ローズ・ヒンドマーシュモデル / カノーモデル / 同期・脱同期転移 / イン・アウト間欠性 / オン・オフ間欠性 / カオス的遍歴 |
研究概要 |
I型ニューロンの典型的なモデルであるCannorモデルからの縮約によって得られる典型的なモデルとしてμモデルを提案している。これは三変数のRose-Hindmarshモデルの遅い変数がないスパイキングニューロンモデルのなかで最も簡単なものであり、数学的な議論が可能である。これはHodgkin-Huxleyモデルに対するFitzHugh-Nagumo方程式への対応に当たるという位置づけである。μモデルのサドル・ノード分岐後のサドルとノードが対消滅した状態の近傍において、モデルを最近接結合させる。全同期解の線形安定性を解析した。全同期解の不安定化の固有関数はCOS関数であり、それは非対称なメタクロナール波に対応する。この解は、鏡映対称解からなる不変部分空間内に存在していない。全同期解の不安定化によって、対称なメタクロナール波が出現するが、これはこの不変部分空間内での分岐である。さらに、対称メタクロナール解から全同期解に向かう位相乱流状態が現れ、これも不変部分空間内にとどまる。これらの不変部分空間内の複数の不変集合と不変部分空間の外にある非対称メタクロナール解への転移はIn-Out Intermittencyであることが判明した。この不変部分空間とこの外の大振幅カオスの間の転移に関しては、In-OutでもOn-Offでもないことも、滞在確率分布の計算からわかった。また、不変部分空間に対する横断的なリアプノフ指数を計算したが、非常に難しく、明確な答えは出せなかった。ただし、部分的にはリドルドベイスンの存在が示唆された。また、これらの結果は有限個のニューロンの数値計算によって得られたが、結合強度とニューロン数の間にスケーリング側が成り立つことがわかった。このモデルの境界条件はオープンにしているが、連続極限のノイマン条件に対応している。従って、ニューロン数無限大で反応拡散系におけるノイマン条件の下での結弱結合極限に対応し、過去の研究成果が使える。この検討は次年度に行う。
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