研究概要 |
ヒトの"こころ"や"感性"の科学的解明は,安全・安心・快適な持続的社会を築くための重要な研究課題の一つであり,国内外の多くの研究者がその計測技術の確立や基盤技術開発等の学際的テーマにチャレンジしている.特に,近赤外分光法(NIRS : Near Infra-Red Spectroscopy)が光脳機能イメージングという新しいパラダイムの扉を開いたのを期に,感性やそれに係る高次脳機能の光計測による解明が渇望されている.そのような状況の中で,研究代表者のグループは,脳の各部位で計測された大脳皮質毛細血管中の酸化・還元ヘモグロビン濃度の時空間ダイナミズムを利用した近赤外光感性情報解析手法を提案し(電子情報通信学会技術研究報告NLP2004-62(2004)pp.7-12他),さらに,喜怒哀楽等の基本的な感性(感情)情報に加えて,Yes/Noの意思情報も同様の解析手法により抽出可能であることを見出した.平成17年度は,感性や意思情報の計測技術の確立とそれをロボット制御へ適用した脳直結型ロボット制御技術を開発することを主たる目的として研究を進めて,以下の研究成果を得た. 1)脳波をリアルタイムでフラクタル解析し,脳機能計測と同時に体の動作の想起に伴う,ロボット制御信号の抽出に成功した. 2)補助信号として,筋電信号のフラクタル解析を試み,動作を反映した次元の変化が得られた. 3)ヒトの意思・判断情報の抽出に成功し,制御信号とする基盤技術を確立した.
|