研究概要 |
本研究の目的は、図書館サービスの分析と構想のための概念枠組みとしてのメタビジネスモデルを構築し、それに基づいて図書館サービスの分析と構想のための手法を開発することである。 はじめに、図書館サービスを含む非営利活動を対象としたビジネスモデルの概念枠組み(メタビジネスモデル)を構築するために、営利活動を対象としたビジネスモデルの概念規定を扱った研究(約20編の論文)について、本研究の視点からそれらを分析し、図書館サービスに適用するための論点を抽出し、企業活動とは異なる図書館サービスの特性を考慮したビジネスモデルの概念枠組みを構築した。この枠組みは、営利、非営利組織の活動、および組織内部の活動等の多様な活動に適用できるものとして設計した。さらに、この枠組みを基礎としてビジネスモデルに記述するべき諸要素とその相互関係を考察し、ビジネスモデル記述のためのオントロジーを構成した。 次に、個々の図書館が明示的に、あるいは、暗黙に有している図書館サービスについての考え方をビジネスモデルとして抽出するための調査方法を検討し、公共図書館員と大学図書館員にインタビュー調査を行った。さらに、ビジネスモデルの中核にある顧客把握の方法を検討するために、公共図書館の潜在利用者の日常的な情報入手におけるメディア利用の在り方を、牛久市民約2,000人を対象とした無作為アンケートの調査データを用いて分析した。 以上によって、ビジネスモデルの視点から図書館サービスを分析する方法開発の基盤が構成できた。今後、図書館サービスのビジネスモデルの実態調査を行うとともに、顧客把握方法、ビジネスモデルに含まれる図書館サービスのアーキテクチャの記述方法等を検討する予定である。
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