1.韓国国史編纂委員会に赴き、同委員会所蔵「宗家判物写」14冊の焼き付けを入手した。これによって、既に入手済みの8冊とあわせて、確認できている43冊のうち22冊を入手できたこととなる。また、43冊全体にわたって、奥書の有無等の書誌情報を調査した。 2.長崎県立対馬歴史民俗資料館に赴き、同館所蔵「宗家判物写」のうち新出の21冊について、書誌情報を調査するとともに、マイクロフィルムによる撮影を行った。これによって、既に撮影済みのものとあわせて、同館所蔵の「宗家判物写」すべての撮影を終了できたこととなる。 3.「宗家判物写」所載文書1点づつについて、年月日・文書名・差出・宛所・「判物写」作成時の所蔵者等の日録データを入力した。既に入手済みの焼き付け等によって、韓国国史編纂委員会所蔵分のうち21冊、および長崎県立対馬歴史民俗資料館所蔵分のうち5冊の入力を終了した。 4.調査によって入手した書誌情報等に基づいて、各「宗家判物写」の性格、および「判物写」相互の関係について検討した。その結果、韓国国史編纂委員会所蔵の所謂「貞享本」には、貞享4年7月作成のものと、貞享4年9月作成のものとがあり、両者は混同すべきでないこと、また、「貞享本」原本と天保7年書写本とがあること、を明らかにした。また、国史編纂委員会所蔵本と対馬歴史民俗資料館所蔵本との関係についても検討し、「宗家判物写」の全体像を把握することにつとめた。
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