研究概要 |
・不安・自律的反応性がより高い被験者ほど、平静時Cortisolが高く、社会的ストレス反応が主観的には大きく感じられてはいるものの、実際のCortisolはそれほど上昇しないことを示した。 ・低濃度Cortisolは、感情的な言論記憶(展望的・回顧的両方)にはあまり影響しないが、感情的には中立的な回顧的言語記憶を上昇させることを発見し、PTSDの治療用に低濃度Cortisol投与が有効であることを示唆する結果を得た。この研究は、臨床的意義も大きいと考えられる。 ・社会的ストレスによるCortisol上昇は、対人的な信頼感の高い被験者ほど少ないことも見出した。 ・ホルモンおよびドーパミン系作用物質(ニコチン)が経済学的意思決定、たとえば異時点間消費貯蓄行動(discounting,intertemporal choiceなどとも呼ばれる)や衝動的リスクテイキングなどにどのように影響するかを解明した。 ・経済学の理論からは非合理とされているタイプの意思決定が、時間認識(time-perception)における(ドーパミン神経がつかさどる)心理物理学的錯誤によって生じうることを数学的に証明した。以上の結果は、将来の認知科学・経済学・神経医学の発展のためにも重要である。 以上に示すように、本研究計画は順調に進行していると考えられる。
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