研究課題
ストレスホルモンや男性ホルモン(テストステロン)、さらにニコチン・アルコールなどの中毒薬物や唾液中アミラーゼによって衝動性・自己抑制能力がどのように制御されるのか、ホルモン定量と心理学的行動選択課題(時間・確率割引課題)をもちいて解明した。具体的には、コルチゾール、テストステロン、またアミラーゼが高い被験者ほど、衝動性が低いということを発見した。これは、覚醒水準が低いことが衝動性と関連しているのではないかという、パーソナリティ心理学の仮説を、世界ではじめて神経内分泌学的に証明し、また脳内でテストステロンが女性ホルモンに変換されることによって衝動性が低下する可能性を示したものである。健康な大学生において、衝動性をあらわす時間割引率が安定して存在すること、また、入院中の断酒アルコール症患者において、入院時の衝動性が、断酒入院3ヶ月後も同程度(しかしわずかに低下)であることをはじめて見出し、内分泌基盤などによって決定されている衝動性が、アルコール症の主要な原因であるということを見出した。また、衝動性・自己抑制能力をになう心理・神経メカニズムを数理モデルによって解明した。具体的には、衝動性や自己抑制の大きさを、ミクロ経済学のパラメータで定量化し、そのパラメータの変化を引き起こす神経生物学的・心理学的過程を数理モデル化することに成功した。たとえば、待ち時間の長さが、心理物理学的な法則(ウェーバー則)にしたがって対数変換されていることにより、自己抑制が低下することを証明した。また、危険愛好行動の大きさを示すパラメータを情報理論によって定式化し、将来の行動神経内分泌学的研究の数学的枠組みを提案した。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (6件)
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