研究課題
われわれは従来脳内におけるN-結合型糖鎖の解析を行ってきたが、末端のシアル酸を除去したアシアロ糖鎖として解析してきた。末端のシアル酸は生理学的な意義が大きい構造なので、本年度はシアル酸も含んだ本来の構造を解析する技術の開発を行った。従来法だと3次元の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)解析を行う必要があったため、HPLCに注入するサンプル数が極めて多くなり、多数の検体を解析するのは現実的ではなかった。そこで、順相HPLCにおける解像度を大幅に向上させ、1次元の解析でもアシアロ糖鎖のほとんどが分離する条件を見いだした。このことにより、シアル酸付加数で分離するモノQHPLCと順相HPLCの2次元でほとんどの糖鎖解析が可能となった。次にα2,3結合しているシアル酸を切断できる酵素消化により、α2,3とα2,6結合シアル酸結合糖鎖構造を個別に解析するシステムを開発した。この手法を使用してα2,6結合シアル酸を含有する新たな糖鎖構造を発見した。特にシアル酸α2,6ガラクトースβ1,3N-アセチルグルコサミン構造は全く知られていなかった。この糖鎖は胎生早期の脳内ではあまり発現していないが、成体になるにつれて発現量が増大した。今後、この新規糖鎖構造の発達過程における発現様式の解析、また合成に関与する糖転移酵素の発現解析および本糖鎖が結合している蛋白質を同定していく。
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