研究課題/領域番号 |
17650113
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
中山 晋介 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (30192230)
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研究分担者 |
徳納 博幸 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (60155520)
伊藤 康 名古屋大学, 医学部附属病院, 助手 (80303650)
村上 学 秋田大学, 医学部, 講師 (80302090)
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キーワード | カルシウム チャネル / チロシンキナーゼ / 平滑筋 / 心筋 / β-アドレナリン受容体 / 不活性化 / 臓器特異性 / 生理学 |
研究概要 |
交感神経刺激時に心筋Caチャネルは大きく電流量が増して、心筋収縮を増強することはよく知られている。この作用は、β-アドレナリン受容体・cAMPを介したL型Caチャネルの燐酸化であることがコンセンサスとなっている。一方、平滑筋Caチャネルは心筋のものと95%の相同性がありながら、β-アドレナリン刺激とそれに引き続く細胞内cAMPの増加によって大きなCaチャネル電流の大きな増強は見られず、一般的に平滑筋は弛緩に傾く。この臓器・組織特異的なCaチャネル機能の差異を作り出す基本的なメカニズムは、大きな謎であった。 本研究では、「L型Caチャネルはチロシン燐酸化に関連するメカニズムを介して、平滑筋モードと心筋モード間をInterconversionする」という仮説をもとに、この臓器特異的なCaチャネル機能の解明を目指した。膀胱平滑筋細胞は、保持電位を-60mV付近にすると、主にL型Caチャネル電流のみが記録できるので、このチャネルのキネティクスを研究するためには絶好の標本である。この細胞へ+80mV,4sの条件付け電位ステップを与えた後、試験電位(0mV,100ms)でCa電流を測定した。通常の状態で膀胱平滑筋のCaチャネルは、条件付け電位の間に不活性化をされない第2の開口状態へ遷移した。ここへ、ATPと競合するチロシンキナーゼ阻害剤であるgenisteinやtyrphostin-47を、ATPを含まないピペット液と同時に細胞内投与すると、比較的高電位条件付けによる第2の開口状態への遷移が強く抑制された。ATPと非競合的にc-srcを抑制するPP2をピペットから細胞内灌流しても類似の作用が認められた。この結果は、上記仮説を強く指示するものであり、私たちはCaチャネルの臓器特異的機能の差異を説明する重要な糸口を見いだしたといえる。
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