研究概要 |
1.実験動物飼育室(装置)排気系統のフィルターダストからのパラインフルエンザ3型ウイルス(PIV3)の検出感度および特異性の検討 前年度のMHV遺伝子診断の場合に決定したものと同様に転写量の最も多いと考えられるNタンパク領域をターゲットにして、1stPCR用の KOF1:5'-ATGTCTTTTGTTCCTGGGCA KOR1:GTGATTCTTCCAATTGGCCA 2nd PCR用の KOF2:TCATGAAAGTGYTGAATGAG KOR2:CTACTTACATTTCGCTGCAC の計4種類のプライマーを設計してRNA-nested PCRを行った。 Single-Step AGPC法を用いてフィルターダストから総RNAを調整し、これをテンプレートとしてKOR1をプライマーにリバース反応(37℃、60分間反応)を行い、cDNAを調整した。各cDNAをテンプレートとして1st PCR、さらにこれをテンプレートとして、2nd PCRを行った。2nd PCR産物を2%アガロースゲルで電気泳動して、175bpサイズのバンドが検出された。この診断法は、数分子のcDNAが存在すれば検出可能なきわめて高感度な方法であることが判明した。 2.ダスト捕集法の改良 実験動物飼育室(装置)中の空中飛散ダストをより効率良く捕集する方法と素材について検討した。 通常のペーパー製フィルターと東レ製のナイロン素材であるトレミクロン【R!○】(プリフィルター)を比較したところ、1回目の結果では良好なダスト捕集能を示した。しかし、この比較研究については、再現性をさらに検討したい。 3.パラインフルエンザ1〜4型ウイルスゲノム診断における特異性の確認 パラインフルエンザウイルスには1〜4型のウイルスが存在するとともにヒト型および動物型が存在する。それらの型別特異性が求められるが,今回は動物型について比較検討したところ、良好な特異性を示した。今後,ヒト由来型と動物由来型株の比較と特異性についてさらに検討したい。
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