1.パラインフルエンザウイルス1〜4型のウイルスゲノム診断における特典性の検討 前年度は主として検出感度を吟味した結果、求める高感度が得られたので、本年度は特異性の面について検討を行うこととした。 パラインフルエンザウイルスには1〜4型のウイルスが存在し、そのうち、1型及び3型にはヒト型および動物型が存在する。ゲノム診断には、1型及び3型を鑑別できる特異性が求められる。 実験動物における自然感染において、パラインフルエンザウイルス感染パターンは、1)センダイウイルス単独感染2)ヒトパラインフルエンザウイルス3型ウイルス単独感染3)両者の混合感染が想定される。したがって、これらの感染パターンを鑑別できるか否かを検討する必要があり、そのため、RT-nested PCR法を用いた。 検討の結果、特異性があり、実用に十分耐えうる結果が得られた。本法は迅速診断が可能であり、間接蛍光抗体法、ELISA法による確認検査と相侯って、実験動物におけるパラインフルエンザウイルス感染の有効な診断法が樹立できたものと考える。 2.ダスト捕集法の改良 高感度で特異性のある本ゲノム診断法の実用性を高めるために、実験動物飼育室(装置)中の空中飛散ダストを効率良くかつ簡単に捕集できる方法と素材が必要である。 前年度、通常のペーパー製フィルターと東レ製のナイロン素材であるトレミクロン^【O!R】(プリフィルター)を比較実験したところ、1回目の結果では良好なダスト捕集能を示すデータが得られたので、さらに再現性を高める捕集方法の開発について簡便にダストを捕集できる素材の検討を開始しつつあるが、まだ有意差は得られていない。
|