研究課題/領域番号 |
17650125
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 正明 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30111371)
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研究分担者 |
大橋 俊朗 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30270812)
出口 真次 岡山大学, 工学部, 助手 (30379713)
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キーワード | ストレスファイバ / 血管内皮細胞 / 平滑筋細胞 / 引張試験装置 / ヒステリシスループ / 粘弾性特性 / 非線形大変形 |
研究概要 |
本年度は、以下の2点に主眼をおいた研究を行った。 1.細胞内からのストレスファイバの単離方法の開発 細胞としては、血管内皮細胞および平滑筋細胞を使用した。ガラス底面のディッシュ上に培養した細胞がサブコンフルエントになった状態で低イオン強度液、緩衝液で震盪処理し、細胞膜や核や細胞内小器官を含む内容物を抽出した。この状態では、ストレスファイバはガラス基質上に張り付いているので、スクレーパにより基質から剥がし、培養液中に浮遊させた。個々のファイバを区別するためにローダミン・ファロイジンによって蛍光染色し、倒立型蛍光顕微鏡下で容易に識別が可能であり、下記の力学試験装置への装着も可能な状態であることを確認した。また、単離したストレスファイバが細胞内のものと大きく異なっていないことを成分分析から確認した。 2.ストレスファイバの引張試験装置の開発 開発した引張試験装置では、ストレスファイバの把持部は、先端径が約7μmのカーボンファイバを2本直交させて、一本は保持・移動用として使用し、他の一本は力のセンサとして使用した。力のセンサとなるカーボンファイバの動きをPZTのセンサで捉え、電子的に移動量を計測した。変位量はおよそ0.09μmの空間分解能で計測可能であることを確認した。これらの装置は倒立型蛍光顕微鏡に載せて使用する形態とした。試料の把持に当っては、2台の油圧式マイクロマニピュレータにより操作し、最終的なカンチレバーの微小な移動はPZTを駆動して行った。引張試験の様子は、CCDテレビカメラを通してモニタし、DVDレコーダに記録する。単離したストレスファイバを使用して、予備的な検討を行った結果、ストレスファイバは大変大きなひずみを示すと共に下に凸の非線形な応力-ひずみ関係を示した。また、繰り返し変形により大きなヒステリシスループを描き、粘弾性的な性質を示すことが明らかとなった。
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