研究概要 |
本研究は,〜10μmの高い空間分解能と生体に対し無侵襲性という特徴を持つ光コヒーレンス断層画像化法(Optical Coherence Tomography, OCT)を内視鏡に融合させた内視鏡融合型OCTの光プローブ試作,特性評価,生体試料の断層画像測定に関するものである。 本年度は,偏心型光プローブの試作・評価・断層画像測定を行った。偏心型光プローブでは,偏心光学系を用いており,これはファイバーの光軸とレンズの光軸を変位させた構成であり,ファイバーを回転させただけで円周走査が可能になる。また,実際の内視鏡は気管支用のものであり,狭い気管支内では前方・側部の両視野のOCT画像測定が必要になる。そこで,光プローブ前方にマイクロミラーを設置して,円周走査の際に上半周は前方走査,下半周は上部側方走査することが可能である。 OCTの光学系はマッハツェンダー干渉計を基にしたファイバー干渉計であり,信号光路と参照光路が独立しているため,信号光パワーの配分を増やすことができるという特徴がある。基礎特性としては,光軸方向分解能は19.1μmであり,PDの感度特性から最適な参照光パワーのSLD注入電流は150mAである。マイクロコイル型光プローブは,ビームの偏心距離は1.0mm,横方向分解能は20μm,焦点深度は3.0mmであった。偏心型光プローブは,偏心距離は半径1.0mmの円周走査(走査距離は7.0mm),横方向分解能は20μm,焦点深度は前方照射で1.4mm,側方照射で1.8mmとなった。OCT測定パラメータは,スキャン速度は1フレームあたり0.75秒,円周走査距離は7.0mm,画像分解能は横方向5.5μm,深さ方向2.8μmである。皮膚の断層画像(8.2mm×3.5mm)においては,表皮,真皮,汗腺を確認することができ,前方・側方両視野においてほぼ同様の断層画像を取得することができた。
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