研究課題
自発的な収縮が有り比較的に計測が行いやすい心筋細胞(ラット)を用いて磁気信号の計測技術確立を中心に研究を進めた。これまでのパイロット実験では、数十ミクロンサイズの心筋培養細胞から、活動電位変化に起因する200pT(10^<-12>テスラ)程度の信号が得られていたが、大抵の場合は信号強度がその1/10〜1/100であり、信号が小さすぎて検出できないこともあった。これを高感度で検出するためには細胞の電流の向きと磁気センサの相対位置の検討をおこなった。電磁解析シミュレーションによって最も感度が高くなるような細胞形状とセンサの位置関係を検討した結果、細胞を培養ディッシュ内で縦方向に置いて培養することが必要となった。縦方向の培養を試みたが、細胞が定着せず、この方法はうまくいかなかった。昨年、センサの形状の検討を行い、マルチチャンネルタイプのSQUID(3ch)を新規に開発、設計試作し、これを用いて10dayラットの心臓片からの磁気計測を行うことができた。H18年度は3chで位置分解能が優れた1mm×1mmのSQUIDを試作し、特性評価を行った。その結果、0.01mm2の有効捕獲面積を得られ、従来の0.1×0.1mm2の約2倍の大きさを得ることができた。また、試作したSQUIDのホワイトノイズレベルは約5pT/Hz1/2であった。これはこれまで作製してきたSQUIDの約半分であり、感度が約2倍向上したことを示している。しかし、残念ながら、細胞からの信号を計測するには至らなかった。さらに磁場分解能と、位置分解能の最適化が必要と思われる。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (1件)
第21回日本生体磁気学会大会 論文集(日夲生体磁気学会誌 特別号) 19, No.1
ページ: 226-227