研究概要 |
既に研究分担者の佐野がファージディスプレイ法により取得したチタン(Ti)表面に結合する人工ペプチド(TBP-1)(K.Sano and K.Shiba, JACS,2003)を用いて、TBP-1のチタン結合モチーフと細胞接着モチーフを併せ持った人工ペプチドを合成し、そのコーティングによるチタン界面への機能付与の可能性について解析した。 実験は、超音波洗浄した粒径150μmアンダーのアトマイズドTi(Ti粒)をBSA処理し、次に1,10,100,1000μg/mlの人工ペプチドでコーティングした。細胞接着モチーフにはRGDおよびDGEAを用い、ネガティブコントロール人工ペプチドは細胞接着モチーフ部分をRGEもしくはDGAAにして用いた。ペプチドでコーティングしたTi粒に、無血清下でマウス骨芽細胞(MC3T3-E1)を接着後30%Ficollにて非接着細胞を除き、Tiに接着した細胞数をアラマブルーにより計測した。 その結果、接着細胞数は、100および1000μg/mlでコーティングした場合に、BSA処理のみの場合と比較し有意に多かった。また、細胞を播種する前に細胞接着ドメインのみのペプチドであらかじめ処理した場合、細胞接着が抑制され、接着細胞数は有意に減少した。 初年度は人工ペプチドによるTi表面への「細胞接着」という機能付与に成功したので、現在はRGDおよびDGEAモチーフからシグナルが細胞内に送られ、骨細胞増殖を誘導しているかどうかについて検討すべく、実験を開始したところである。
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