研究課題/領域番号 |
17650145
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
野水 基義 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (00311522)
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研究分担者 |
山田 純司 東京薬科大学, 薬学部, 助教授 (60200721)
吉川 大和 東京薬科大学, 薬学部, 講師 (20274227)
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キーワード | 3次元細胞培養 / インテグリン / キトサン / ペプチドマトリックス / 細胞接着 / 神経突起伸長 / 表皮細胞 / 細胞移植 |
研究概要 |
本研究は、ラミニン由来の機能ペプチドを多糖類に固定化することによって、3次元での細胞培養が可能なゲル「ペプチドマトリックス」を作成し、再生医学や組織工学分野に応用可能な医用生体材料を創製することを目的としている。我々は、組織の発生や修復・再生を調節している基底膜タンパク・ラミニンの機能部位を、ラミニン分子すべてをカバーしたペプチドを用いる網羅的なアプローチで約50種類の機能部位を同定してきた。まずインテグリンに作用するペプチド(10種類)に注目し、これらをキトサン膜に結合させることによりペプチドマトリックスを作成し、細胞接着をはじめとする生物活性を測定したところ、4種類のペプチドを固定化したペプチド-キトサン膜がインテグリン特異的な細胞接着を示した。抗インテグリン抗体を用いた細胞接着阻害実験から、A99(AGTFALRGDNPQG)-キトサン膜はインテグリンαVβ3を介して、EFIzz(ATLQLQEGRLHFXFDLGKGR)-キトサン膜はインテグリンβ1を介して細胞に接着していることがわかった。次に、PC12ラット副腎髄質クロム親和性細胞を用いた実験からA99-キトサン膜のみにPC12細胞神経突起伸長促進が確認された。これらの結果から、インテグリン特異的に作用するペプチドを固定化したペプチド-キトサン膜は、作用するインテグリンのタイプに依存して、作用が異なることが明らかとなったとともに、目的の細胞あるいは組織や用途に合わせたペプチド-キトサン膜の作成が可能性であることが示された。これらの結果は望月らBiopolymers誌に現在印刷中である。また、ペプチド-キトサン膜にヒト表皮細胞を接着させ、ヌードマウスへの移植実験を行ったところ、効率よくヒト表皮細胞がヌードマウスへの移植されることを見いだした。これら結果は、池本らJ Biomed Mater Res A.誌に報告した。
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