研究概要 |
本研究の目的は、生体細胞の計測を行うにあたり,直接細胞内でセンサープローブを製作して生体活動に伴う発現物質等を検出し,検出後はプローブが自己消滅するといったオンデマンド光計測法を開発することである。そしてこの目的を実現する手法として,蛍光色素がドープされた生分解性紫外線樹脂を2光子重合で硬化させてマイクロレーザーキャビティー作成し,これをプローブとして使用することを考案した。本年度は、2光子重合により硬化させた樹脂の形状確認とポリマー構造の金属コーティングに関する研究を行った。ガラス基板上に紫外線硬化樹脂を滴下し、これにフェムト秒レーザー(波長796nm,パルス幅140fs)を集光照射した。照射後,アセトンで希釈・乾燥して硬化物を取り出し、走査型電子顕微鏡でその形状を観察を行った。実験の結果,約200nm×500nmの楕円形のマイクロキャビティを再現性良く作成できることを確認した.さらにこのポリマー粒子表面に金をコートすることができれば、キャビティー表面を特定の抗原に反応する抗体などで修飾することで抗原-抗体反応を利用した計測ができるようになる。そこで樹脂にイオン性の化合物を混入したものを2光子重合させて構造を作製し、その構造に金属を析出させる手法について検討した。その結果、イオン性化合物を用いて光硬化性樹脂を改質する方法は、ポリマー表面への金属析出に有効であることを確認した。この金属/ポリマー微粒子では,表面に修飾した抗体に細胞中の抗原が結合するかどうかで,キャビティ内のウィスパリングギャラリーモードが大きく変化するので、発振するレーザーのスペクトルを測定することにより高感度に生体情報を検出することが可能となる。今後は、より生体内に近い環境下でセンサーを作製する技術について検討を行う。
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