昨年度、パーキンソン病患者の歩行訓練用聴覚刺激として作成したMIDIによる音楽ペーシング音を用いて、健常被験者に対し追加実験を行った。 実験結果は、昨年同様、歩行時の速度変化を検出する機能として、作成した音楽ペーシング音は、メトロノーム音に匹敵するものであった。これを、パーキンソン病患者の歩行リハビリテーションに応用するため、患者毎に、また患者の病態に応じた、至適歩行ペーシングテンポを求める方法を検討した。 患者の至適歩行速度は、投薬からの経過時間等により、日内変動が生じている。したがって、音楽歩行ペーシングのテンポも、これに合わせて変化させなければならない。 この至適ペーシングテンポを簡便に推定する方法として、指タッピング速度に着目した。 これは、歩行速度と指タッピング速度に相関があるとされている先行研究による物である。 まず、指タッピング速度の検出方法であるが、示指の屈曲および伸展に関わる筋の、表面筋電図から推定することを考えた。この実験を健常被験者に対し行ったところ、浅指屈筋よりも示指伸筋の方が検出し易いことが判明した。 次のステップは、患者さんに対する臨床実験である。 研究協力病院である国立病院機構宮城病院の倫理委員会の審査を経て、宮城病院に入院あるいは通院しているパーキンソン病患者さんに対し、研究協力患者の募集を行った。 倫理委員会の審査に時間がかかり、研究期間内に応募者が現れなかったため、患者に対する実験を行うことが出来なかったが、今後も研究を継続していく予定である。
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