今年度は昨年度作成した、「軽度発達障害児の作業療法評価」の発達検査としての信頼性を上げるため、定型発達児のデータを増やした。データ数は昨年度の120名とあわせ今年度は232名となった。このデータをもとに13の下位検査で構成される発達検査を完成させた。検査は身体図式2検査、シークエンス記憶2検査とシークエンス運動1検査、両側統合4検査、構成能力2検査、口腔運動行為2検査である。昨年度、開発した検査の中で身体図式1検査は手順と採点が煩雑であり検者間で得点が異なる場合があったので却下した。また構成能力は平面構成を省き、すべて立体構成課題とした。Spearmanの順位相関により身体図式(人物画0.65、肢位模倣0.58)、シークエンス記憶(視覚0.62 運動感覚0.66)、シークエンス運動(0.54)、両側統合(定規使用0.73 両上肢同時運動0.63 両上肢交差同時運動0.66 ひも巻き運動0.50)、構成能力(継目が見える積み木構成0.68 継目が見えない積み木構成0.67)、口腔運動(口腔運動模倣0.45 吹く運動0.63)すべての検査に月齢と得点に有意差(p<0.01)があった。下位検査それぞれの検査開始項目、終了時の検討も昨年に引き続き行った。シークエンス記憶2検査に上限下限を、構成能力2検査に上限を設定した。マニュアル、採点表に関しても修正を行い最終版を完成させた。さらに、6歳〜10歳の軽度発達障害児10名(すべて高機能広汎性発達障害男児)に本検査を実施し同じ生活年齢の定型発達児のデータと比較した。-1.0SD以下の下位検査を問題ありとした。その結果、5名以上の軽度発達障害児に問題がある検査として人物画、シークエンス運動、定規使用、両上肢交差同時運動、ひも巻き運動があがった。構成能力2検査はすべての児に問題はなかった。次年度は軽度発達障害のデータ数を30名とし、スクリーニングに有効な検査のさらなる絞り込みを行うとともに他の発達検査との相関、因子分析を行い、本検査が学校教育現場で優れた判別力をもつ発達検査となるよう完成させる。
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