研究概要 |
空気圧を利用した部分荷重トレッドミル装置を利用した歩行中の下肢血流量,下肢皮膚表面温度,下肢深部温度および乳酸値を測定し,臨床応用の準備を行った. 対象:同意を得た健常成人10名(男性7名,女性3名)を対象とした. 方法:トレッドミル歩行中の血流量,皮膚表面温度,深部温度および乳酸値を測定した。血流量測定用の血流計プローブは左腓腹筋の中央部につけ、部分荷重トレッドミル装置内において無免荷安静立位時の血流を測定し,これを基準値に設定した。次にランダムに実施した全荷重歩行(FWB)、2/3荷重歩行(2/3PWB)および1/2荷重歩行(1/2PWB)の各歩行時の組織血流量の変化をレコーダーにて記録し、数値化した。皮膚表面温度および深部温度については、コアテンプCM-205(Terumo社製)を使用した。コアテンプのプローブは血流計プローブとほぼ同位置につけた。乳酸値測定にはLactate Pro(アークレイ社製)を使用した。運動直前に1回とその後各歩行直後1回、計4回測定した。そして各運動後の乳酸値と測定前の乳酸値を表示し、各歩行間で比較した。 結果:血流量はFBWで最も多く,2/3PWBと1/2PWBでは有意に減少した(P<0.061)。皮膚表面温度および深部温度はFBW,2/3PWBならびに1/2PWBにおいて差がなかった.乳酸値においては、測定による平均値はFWBでは1.4±0.39mol/ml,2/3PWBでは1.5±0.80mol/ml,1/2PWBでは1.5±0.93mol/mlであった.ただし各歩行間を比較したところ有意ではなかった(P=0.09). 臨床応用:以上の結果を踏まえ,臨床応用のための倫理委員会書類作成および機器改良の準備を行った.
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