開発した義足にはアクチュエータとして2本のエアシリング(コガネイ、RBDAS 16X30-7)を互いに拮抗筋となるように配置し、常にエアポンプで充填したエアタンク内の圧縮空気を駆動源として電磁バルブ(コガネイ、110-4E1-J63またはGA010LE1)の開閉によるアクチュエータの駆動で足部の低屈(20度)と背屈(15度)を実現した。さらに足関節部の軸と組み合わせたポテンシオメータによる足関節角度センサ、脛部に装着した加速度センサ(ADXL202)、足底の前後に装着したマイクロスイッチによる接地センサ等によって足の状態を一定の時間間隔で検出して最適な駆動プログラムを選択実行する事でより円滑な歩行をさせることができた。そして今回開発した足関節が動く能動下腿義足により低屈および背屈が可能となり、よりスムースな歩行が可能となったことをトレッドミル上の被験者の歩行で確認した。また圧縮空気を駆動源とするエアシリングをアクチュエータにしたために義足の接地時の衝撃を和らげる効果やシステム全体の軽量化も確認した。この能動下腿義足の駆動システムはマイクロチップ社のPIC(16F876)を核にして、処理プログラム開発はアセンブリ言語を用いて開発され、義足の足関節角度や接地状態の情報は駆動システムへのアナログ信号としてシステムへ入力されるものとした。また直流6Vまた12Vで開閉駆動が出来る小型軽量の電磁バルブを組み込んで安全性の高いものとする事が出来た。ただし現在のシステムには基本的な歩行パターンに必要な低屈・背屈の機能を組み込んであるが、義足装着者自身の意図に基づく歩行リズムの自由な変更や起立動作の姿勢維持機能は組み込んでいない。また設置や足関節角度などの足の状態に関する情報を小型のバイブレータで大腿部へ伝える感覚代行機能を実現するシステムの設計に着手した。
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