360名を対象に高齢者の身体的自立を促す指導プログラムを実施した。1回約2時間の学習主体のプログラムである。指導(学習)効果を見るために、指導前後における「体の使い方」についての「知識」「認識」「意識」の変化を調査した。 その過程と実施指導から、高齢者の「体めの使い方」に関する知識・認識・意識については以下のような点について、誤認、無知が多くみられた。 ・脚と胴体の関係、すなわち股関節の位置や機能について。 ・膝の位置や、「膝を回すとは、股関節の回旋運動であること」について。 ・膝と内踝・外踝との関係、それらと股関節の関係について。 ・猫背(丸背)の起序、とくに「下を見る」際の首の使い方について。 これらについての知識を正したり、認識を促したりしながら、「椅子に座る・椅子から立つ」や「歩行」のデモンストレーションや参加者数人をモデルに指導をおこなった。学習によって、知識や認識の改善が見られた。しかし、知識を身体化するには一定時間の練習を要する。受講者の追跡が来年度の課題である。 これらの詳細については、現在データの分析中である。なお本研究の成果を、2006年8月開催の「アジア障害者体育・スポーツ学会」第9回大会(長崎)で発表する予定である。 本年度の実践と、これまでの本研究課題に関連する研究成果を、日常生活での体の使い方に関しての啓蒙書として、および、体の使い方に関す技法論として著書にまとめた。
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