運動トレーニングによって心臓の形態や機能の変化した結果をスポーツ心臓というが、心臓の心室、心房に対する個別の形態・機能的な特徴についてはまったく明らかではない。研究が進展していない理由として、心臓の機能測定の方法が限られており広く各種目に対する計測が困難である実情がある。近年、超音波エコー診断機の技術が進歩し、近年ではフィリップス社開発の診断機により比較的容易に心臓の3次元画像情報が得られるようになった。しかし、その3次元情報をスポーツ心臓にあてはめて測定、データベース化やそれに向けての計測法のスタンダード化への試みはまったくなされていない。そこで、本年度は、超音波エコー画像より得られる3次元心臓情報から、左心室心房をどのように計測・評価するかの方法論を開発することを目的とした。 スポーツ選手10名の心臓3次元データを、フィリップス社製心臓用超音波診断装置(SONOS7500)を用いて計測した。汎用3次元解析プログラムを用いて心臓左室の3次元解析による容積を算出した。実験解析は、筑波大学共同研究棟B104室にて行い、フィリップス社製心臓用超音波診断装置(SONOS7500)は、フィリップス社との共同研究として定期的に借用して測定を行った。なお、被験者の左心室の容積を変化させるために、下半身陰圧負荷を行った。3次元画像によって計算される左室容積が従来の2次元Mモード解析による値とどのように異なるかについて検討し、両者には有意な相関関係が認められることが明らかとなった。
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