運動トレーニングによって心臓の形態や機能の変化した結果をスポーツ心臓というが、心臓の心室、心房に対する個別の形態・機能的な特徴についてはまったく明らかではない。研究が進展していない理由として、心臓の機能測定の方法が限られており広く各種目に対する計測が困難である実情がある。近年、超音波工コー診断機の技術が進歩し、フィリップス社開発の診断機により比較的容易に心臓の3次元画像情報が得られるようになった。しかし、その3次元情報をスポーツ心臓にあてはめて測定、データベース化やそれに向けての計測法のスタンダード化への試みはまったくなされていない。そこで、今年度は、超音波エコー画像より得られる3次元心臓情報解析法の評価を目的とした。スポーツ選手12名の心臓3次元データを、フィリップス社製心臓用超音波診断装置(SONOS7500)を用いて計測し、データをノートパソコンに保存した。パソコン上にてフィリップス社にて開発された3次元解析プログラム(DATA LAB)を用いて心臓左室の3次元解析による容積を算出した。SONOS7500は、フィリップス社との共同研究として定期的に借用して測定を行った。なお、被験者の左心室の容積を段階的に変化(減少)させるために、下半身陰圧負荷を行った。フィリップス社により開発されたDATA LABを使用しての心臓容積、左心室容積の、測定再現性および、従来の2次元Mモード解析による値との比較を行った。2次元Mモード値との比較は良く、DATALABによる心臓容積測定は非常に簡便(操作性、解析時間)に行え、心臓全体の形状を把握することに優れていた。しかし、解析速度を向上させるために3次元画像の分解能が低く、結果として、測定全体の分解能(解像度)が低く、分解能の向上が、今後の課題と考えられた。
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