持久性運動をおこなった時、骨格筋にはミトコンドリア容量の増加、ミオグロビン量の増加、毛細血管密度の上昇、遅筋タイプミオシン重鎖蛋白質の発現上昇と速筋タイプミオシン重鎖蛋白質の発現低下など様々な(遅筋化といわれる)変化が起こることが知られている。これに関して、カルシニューリン・NFAT系など遅筋化に関するマスター遺伝子が働いていることが報告されているが、本研究は持久性運動を行ったときに遅筋化のカスケードがどのように動くのかを網羅的に探るために計画されたものである。モデル動物として、マウスを使ってランニングホイールを用いた自発性運動を5〜10日間行わせたところ、(足関節底屈筋である)足底筋に以下のような遺伝子の発現上昇と下降が確認された。 (3倍以上の)発現上昇したもの:62遺伝子 FGF receptor activating protein 1、Mitogen activated protein kinase binding proten 1、GATA binding protein 1、Integrin alpha V (3分の1以下に)発現が下降したもの:214遺伝子 Mitogen activated protein kinase 4、Eukaryotic translation initiation factor 2c、Cell division cycle 6(cdc-6)homolog、Vascular cell adhesion molecule 1(vcam1)、Guanine nucleotide exchange factor 現在、上記の遺伝子の他にもまだ機能が未報告な遺伝子に関して、より詳細に発現レベルなどの検討を行っている。
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