研究課題/領域番号 |
17650196
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研究機関 | 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター |
研究代表者 |
中嶋 耕平 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ医学研究部, 非常勤研究員 (50292925)
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研究分担者 |
福井 尚志 (独)国立病院機構相模原病院臨床研究センター病態総合研究部, 研究部長 (10251258)
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キーワード | アライメント / 下肢 / 三次元動作解析 / 歩行解析 / 外側楔状足底挿板 / アーチサポート / 距骨下関節 / 膝関節 |
研究概要 |
平成17年度は研究実施に向けた設備の調達と予備計測を行い、評価項目、計測方法の再検討を行った。 1.計測および評価方法 1)一般若年健常者(平均年齢28.7歳)17名(男性10名、女性7名)を対象として、赤外線ビデオカメラ(13台)と三次元動作解析装置(VICON)、床反力計を用いた通常歩行時の下肢の動的アライメント(足関節(距骨下関節)・膝関節・股関節)の評価を行った。本計測では歩行時における各関節の矢状面、前額面での関節角度の変化、足関節、股関節における内反・外反モーメント、および各関節におけるモーメントアームが算出可能であり、この他、足部の形態計測、立位単純X-pによる足部、膝関節、足関節の2次元的なアライメント評価を行った。 2)下肢のスポーツ障害の既往のある被験者2名(平均年齢30歳、女性2名)に対しても同様の計測を行い。上記1)の対象者と各パラメータの比較を行った。 3)上記1)、2)の被験者全例を対象に、形状の異なる足底挿板(6種類;(1)平坦型、(2)低アーチサポート型、(3)高アーチサポート型、(4)外側楔状型、(5)外側楔状+低アーチサポート型、(6)外側楔状+高アーチサポート型)を作成し、各足底挿板を装用した状態での1)と同様の計測条件で下肢の動的アライメントの評価を行った。 2.結果 1)上記パラメータの内、現行(本研究)で行った計測では、股関節の内・外反モーメントは個人間の変動が大きく、正当な評価が困難であった。このため、本年度は足関節、膝関節に関するパラメータを中心に評価を行った。 2)健常者と下肢障害既往者との間では、膝関節の内反モーメントの波形に差が認められ、後者では波形に乱れがあることが判明した。 3)全被験者を対象とした足底挿板の装用による影響は、(1)型足底挿板装用時に比較して、足関節(距骨下関節)の外反モーメントでは(2)有意差無し、(3)有意減少、(4)有意増加、(5)有意増加、(6)有意差なしが確認され、膝関節の内反モーメントでは、(2)有意差なし、(3)有意増加、(4)有意減少、(5)有意減少(6)有意無しという結果が確認された。また、(4)と(5)との比較では、足関節(距骨下関節)外反モーメントでは有意差は無かったが、膝関節内反モーメントでは有意な減少が見られた。 3.本研究により、健常者、下肢障害既往者において足底挿板の形状が下肢の動的アライメントに影響を及ぼすことが確認され、特に従来の研究で報告されている(4)外側楔状足底挿板の装用による膝関節の内反モーメントの減少効果以上に(5)外側楔状+低アーチサポート型足底挿板装用は減少効果を有し、将来的な内側型変形性膝関節症の発症予防に有用な可能性が示唆された。 4.本年度研究成果物は現在論文執筆中であり、平成18年5月、6月の国内学会で発表が決定している。 本年度以降は、股関節、骨盤の動的評価が可能な評価方法、項目を再度検討する必要がある。
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