研究概要 |
定期健診において、頚動脈内中膜厚(IMT)測定および最近開発した内臓脂肪測定器による内臓脂肪量測定を導入した。また、メタボリックシンドロームとの関連が示唆される血中物質の測定を開始した。 1,画像解析ソフトによるIMT測定値の安定性は早期に確認でき、現在40歳以上の男性714例、女性364例のIMTの解析を行っている。男性および女性のmeanIMTは0.697±0.210mmと0.631±0.138、maxIMTは0.913±0.470mmと0.764±0.282mm。男性においてメタボリックシンドローム危険因子数の増加に伴い、特にmeanIMTの増加を認めた。またステップワイズ回帰分析では、腹囲、年齢、収縮期血圧が有意な因子であった。この対象群のうち男性158例の解析では、hCRPよりadiponectinおよびIL-6がmeanIMTと相関した。健常者においても、腹部肥満を基盤にした血中生理活性物質の変化と動脈硬化形成が関連することが示され、投稿準備中である。 2,30-59歳の男性1934例につき危険因子の頻度を調べ、329例につきadiponectin、IL-6、hCRP、IL-10、TNF-aを測定した。腹部肥満が危険因子の集積に伴う血中因子の変化に大きな影響を与えていることが明らかになり、現在投稿中である。 3,上記のサブグループで、メタボリックシンドローム前段階ですでにhCRP、adiponectinの変化が認められ現在投稿中である。 4,内臓脂肪測定は、データが安定した直近の男性218例、女性167例より検討を開始している。腹囲はBMIより強く危険因子との相関を認めるが、内臓脂肪測定値は男女とも腹囲と同等以上の相関を示した。またmeanIMTへの相関も認め、ストレスの程度(問診による)により増加する傾向を認めた。しかし、まだ有意なデータではなく、症例数を重ねる予定である。
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