研究概要 |
ライフスキル形成を基礎とする性にかかわる危険行動防止プログラム開発のための基礎資料を得ることを主な目的として,埼玉県川口市の某中学校の全生徒を対象として,ライフスキル及び性行動に関する実態調査を2006年3月に実施した。2005年5月の調査結果と比較して,以下のような変化が認められた。 1.2005年5月の調査結果に比べて,1年女子のセルフエスティームの得点が低下する傾向にあり,「学習」,「全般」,「身体」に関しては有意な差が認められた。社会的スキルに関しては,有意な変化は認められなかった。ストレス対処スキルに関しては,「サポート希求」(1年男子,2年男子,同女子),「気分転換」(1年女子)の得点が2005年5.月の調査結果に比べて低下する傾向にあった。また「情動的回避」(3年男子)は上昇した。一方,「行動的回避」(1年男子)は低下した。 2.2005年5月の調査結果に比べて,喫煙経験者率(1年女子),月喫煙者率(2年女子),月飲酒者率(1年女子)は,有意に上昇した。 3.2005年5月の調査結果に比べて,性交を迫られた経験のある者の割合(1年男子)は,有意に上昇した。また,性的接触の要求を断る自信(1年男子),性感染症を避ける自信(3年男子,1年女子)は,有意に低下した。 本研究の結果は,この1年間にとりわけ1年女子においてセルフエスティームが低下し,喫煙や飲酒行動,性交を迫られた者の割合が増加する傾向が認められた。こうした変化は,全国調査の傾向と一致していた。
|