未成年喫煙者の増加と喫煙の低年齢化により全国各地で中学生のみならず小学生での常習喫煙者が観察されているが、有効な禁煙治療方法は確立されてこなかった。 小学生中学生常習喫煙者は「反抗心」「低劣な生活環境」によって喫煙していると考えがちであるが、該当しない例も多く観察されることが研究代表者によって明らかにされてきた。 こうしたことから、小中学生常習喫煙者の社会的背景について明確にし、小中学生常習喫煙者に適した禁煙治療方法の開発や禁煙を促進する社会環境の整備が求められるようになってきている。しかし現在に至るまで小学生を含めた喫煙者への治療方法の研究はなされていない。 本研究においては小学生および中学生の常習喫煙者の特性を明らかにするとともに学校校区単位での禁煙治療の可能性について検討した。 具体的には、プロジェクト参加校における学校敷地内および周囲の禁煙化への支援を提供するための社会的資源の連携を強化(Population strategy)し、地域の祭り時の禁煙啓発に参加した。またプロジェクト参加校においての喫煙生徒・喫煙教職員への禁煙支援の提供の続行と成果評価を実施した。同時に喫煙生徒の喫煙保護者に対する禁煙プログラムを提供した(High risk strategy)。プログラムの実施には学校医をはじめとする地域資源を利用し、コーデイネーター機能を地域保健所および研究代表者が行った。これらの結果から、喫煙生徒が禁煙にチャレンジする場合、保護者の禁煙チャレンジがあると半年後の生徒の禁煙成果が有意に高いことや、喫煙防止教育の有用性が明確になった。これにより、未成年喫煙と成人喫煙の双方の減少を図るとともに大学と地域医療の連携による新たな地域へのヘルスプロモーション手法を開発した。
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