研究概要 |
本研究の目的は,高齢者の転倒を予防するために,身体運動だけでなく高齢者特有の認知を視野に入れ,運動と認知が相互にどのように影響し合い転倒へと結びついてしまうのか,という問題の一端を理解することである. 上記の目的を達成するために平成17年度は,実験装置の作成および開発,資料収集,さらに研究フィールド調査を行った. まず,実験装置の作成および開発では,共和電業社製の歩行分析システムおよび三次元動作解析を同期させて記録可能なシステムを作成した.さらに,歩行分析システムと三次元動作解析とのデータを統合し力学的分析も可能にするために,プログラミングソフトであるMatlab(Mathworks社製)を用いて解析用プログラムを作成した.運動認知能力を測定する装置として,またぎ動作 つぎに,資料収集では,転倒予防に関連する身体能力を測る指標として,どのような指標が適しているのかを調査し,調査項目を検討した.結果,Functional Reach Test,最大一歩幅,開眼片脚立位時間,握力,足趾把握力などが転倒予防のスクリーニングとしても用いやすいので,これらの指標を調査に用いることに決定した. また,研究フィールド調査は,本研究の対象者を決めるために行った.結果,地域在住の在宅高齢者が最も転倒予防への関心が強く,調査協力が得られることが分かった.さらに,年代も70歳代であり,本研究の対象者として最も適していると考えられた.よって,本研究の対象者は地域在住の在宅高齢者とすることとした. 以上が本年度の研究実績である.次年度は本年度の研究実績を踏まえて,フィールドでの測定を行うこととする.
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