研究概要 |
平成18年度は,睡眠・遊び・食事等の生活習慣,運動実施状況,保護者の養育態度,遺伝,ストレス状態などの背景要因が幼児の肥満化に及ぼす影響について検討するため,保護者に対する質問紙による調査,歩数,身体計測,生理的指標として唾液中コルチゾールの分泌量などに関する調査を実施した。また,縦断的な発育データから,一般的な体重増加と異なる場合に,どの程度,肥満化が進行するのかを検討するために,身体計測値からBMIを算出し,年度末の3月時点でのBMIによる年間変動量の差異を分析した。主な結果と課題については,以下の通りである。 1.4・5歳児の生活状況において,BMIと有意な相関関係が認められた項目は,平日朝のTV視聴時間,平日の歩数,降園後の歩数,おやつの量,体調不良の頻度などであった。 2.4・5歳児の生理的指標としては,BMIとの相関関係では,朝の体温及び夜の体温に負の関連性が認められた。 3.4・5歳児の遺伝的要因に関する項目では,両親のBMIとも有意な相関関係が認められた。また,出生時の体格とも関連性が認められた。 4.縦断的データから見た体格の変化について,3月時点でのBMIが高い群は,男女ともに夏季以降に上昇が大きい傾向にあり,1年間でBMIが有意に増加した。中間群は男女ともに4月の時点と差が認められず,低い群は女児において4月と比較し有意に低下した。 5.今後は,肥満化に影響を及ぼすモデルについて検討していくこと,BMIの変化傾向の特徴について更に詳しく分析することなどが課題である。
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