研究概要 |
幼児における体格の変化及び睡眠,食事,運動等の生活や肥満との関連についてその要因を検討するために,年長児に関する生活や身体の調査,2歳児の健診における質問紙調査の分析を行った。 年長児のカウプ指数(BMI)と体脂肪率の関係をみると,男女ともに有意な正の相関関係が認められた。生活及び身体の状況とカウプ指数においては,睡眠時間,偏食数,歩数,体温,唾液中コルチゾール値などの関連は認められず,男児は父親のBMI,女児は母親のBMIとの間に有意な正の関連が認められた。 年長児の追跡的な身長と体重の発育データから得られたカウプ指数を,年度末である3月時点の数値で3群に分類し,1年間を4期に区分して体格の変動を分析した結果,男児の低位群を除く全ての群で,有意な年間変動が認められた。カウプ指数の高位群は,男女児とも第2期と第3期・第4期,第1期と第4期の比較において有意に増大し,1年間の後半で体重増加が顕著になることが明らかとなった。 2歳児の体格においては,カウプ指数は男児が有意に大きい数値を示した。生活や身体との関連を見ると,男児においては,カウプ指数と出生時体重,身体を動かす遊びの状況・好み,間食摂取量などと正の関連があり,起床時刻とは負の関連を示した。女児においては,出生時体重と正の関連,就床時刻,入眠時間と負の関連が認められた。多変量解析においては,男女児ともに,養育態度と睡眠・食事などの生活習慣との間に有意な関連がみられた。2歳児の段階ではカウプ指数の大きさは,前述した出生時体重,睡眠,食事,運動などの影響が示唆されるが,身体や生活の縦断的な調査等をもとに肥満が進行する幼児の特徴を分析することなども必要と考えられた。
|