研究課題/領域番号 |
17650222
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田中 慶一 大阪大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (90068247)
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研究分担者 |
中西 剛 大阪大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (50303988)
伊藤 徳夫 大阪大学, 大学院・薬学研究科, 講師 (60176352)
上田 英典 大阪大学, 大学院・薬学研究科, 特任研究員 (50419462)
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キーワード | 薬学 / 糖尿病 / アスコルビン酸 / 栄養学 |
研究概要 |
糖尿病時には血中アスコルビン酸(AsA)濃度が減少する一方で、特定の組織におけるAsA濃度の上昇が認められる。またAsAは、糖尿病の合併症に関係する原因因子の産生などに関わると予想される一方で、AsAの抗酸化作用により、糖尿病時の炎症や酸化的ストレスに対する防御因子としても働く可能性を有している。しかし、AsAと糖尿病の病態変化に関するデータは乏しく、また体内動態や輸送機構に関する報告も皆無に等しい。そこで本研究では、ストレプトゾトシン誘発糖尿病モデルマウス(STZマウス)を用いて、1)糖尿病時における^<14>C-AsAの各組織への移行性の検討、2)Na^+依存性AsAトランスポーター(SVCT)1および2のmRNA発現に与える影響、3)糖尿病時に上昇または減少する生理活性物質による組織細胞株のSVCT発現への影響、4)STZマウスにAsAを過剰に与えた際の各組織におけるSVCTのmRNA発現変動、5)糖尿病合併症に付随する生化学的パラメーターについて検討を行った。その結果、STZマウスでは副腎での^<14>C-AsAの取り込みが上昇し、また副腎のSVCT2 mRNAの発現が上昇していた。しかし、ラット副腎髄質細胞株PC12とマウス副腎皮質細胞株Y1細胞を用いてAsA取り込みについて検討を行ったところ、高グルコース条件下やインシュリン、終末糖化産物の添加では、AsAの取り込みに影響を与えなかった。一方で、STZマウスにAsAを4週間摂取させた後の副腎のSVCT2 mRNAの発現は、無処理群と比較して抑制されており、またAsAにより産生が増大する血中のノルエピネフリン(NE)の産生、およびNEにより産生が増大する遊離脂肪酸の産生ともに抑制されていた。したがってAsAは、作用機構は不明ではあるが、副腎のSVCT2の発現を抑制することで、糖尿病合併症の病態を改善する可能性が示唆された。
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